ヒップホップには、ストリートでの犯罪を題材にした「ギャングスタラップ」というジャンルがある。 そんななか、神奈川県川崎市に、自分たちの体験談だけを元にしてリアルなギャングスタラップを生み出している若者たちがいる。 今回は、元不良たちのみで構成されたヒップホップクルー「BAD HOP」を紹介しよう。 貧困と犯罪がすぐそこにある地元 BAD HOPは、T-Pablow、YZERR、Tiji Jojo、Benjazzy、Yellow Pato、AKDOW、Bark、G-K. D、Vingoの9人組のヒップホップクルーだ。 彼らの地元は、神奈川県内でも治安が良くないと語る人の多い川崎市池上町。 隣接する工場地帯から出るトラックの排気ガスと工場から出る煙にまみれ、町内にはバラックやブルーシートハウスが乱立した場所も存在する。 そんな池上町で育ったメンバーたちにとって危険は隣り合わせ。 地元では、学校内で警察による集団検挙が行われるほど、若者による犯罪が頻発していた。 BAD HOPのメンバーも、全員が地元で名の知れた元不良。 学生時代にはたくさんの事件を起こしてきたという。 店員不在のレジを狙った強盗を繰り返し、ある時に店主にバットで返り討ちにあって顔面が血だらけになった経験を持つメンバーもいる。 同世代のかつての仲間は薬物中毒者や服役囚になってしまったが、BAD HOPのメンバーたちは音楽との出会いによって更生を果たした。 そして犯罪や暴力が頻発する地元から抜け出すため、現在は音楽での成功を目指し、活動している。 クルーを引っ張るのは高校生ラップ選手権の王者 BADHOPの名は、メンバーのT-Pablowの活躍によって全国的に知られるようになった。 中学生時代に川崎の不良グループ200人のリーダーであったT-Pablowは、2012年にK-九の名義で「第1回 BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」に出場し、優勝。 優勝後は地元の不良たちと縁を切るために1年半の間、全国を放浪した。 そしてT-Pablowと名前を改め、2013年の「第4回 BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」で再び優勝し、全国にその名を轟かせた。 現在は、Zeebraの運営するレーベル「GRAND MASTER」に所属。 双子の弟のYZERRとユニット「2WIN」の活動を通して、BAD HOPの名を全国に広めている。 2015年、ついに1stアルバムをリリース BADHOPは、2015年7月に満を持して1stアルバム『BAD HOP』をリリースした。 アルバムの中には、他にも地元や過去の自分と向き合った内容の楽曲が数多く収録されており、BAD HOPのメンバーの半生が詰まった一枚に仕上がっている。 BAD HOPは日本語ラップシーンを担っていくことを期待されている若手クルー。 これからの彼らの活動から目が離せない。
次のZEEBRAさんがにゲスト出演。 「日本語ラップ、その技術と進化の現代編」と題して解説をする中で、大人気のトラップ楽曲とBAD HOP『Kawasaki Drift』について宇多丸さんと話していました。 (宇内梨沙)ここからは日本語ラップ、その技術と進化の現代編後半です。 節回しから少し離れていま流行っているビートの正体は? という話なんですが。 (宇多丸)先ほど、ジブさんがちょろっと言っていた「トラップ」というね。 僕、普通に「トラップ、トラップ」って言っちゃって。 映画評の中でも「このお母さんがずーっとトラップ聞いててさ……」とか普通にやっちゃっているんだけど、ちゃんと説明をしていなかったっていう。 宇多丸『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』を語る!【映画評書き起こし 2018. 26放送】 (宇多丸)若いお母さん。 もうひっきりなしにトラップを聞いているというね(笑) — みやーんZZ miyearnzz (ZEEBRA)はいはい。 これはでもね、なかなか難しいですよね。 説明をはっきりと「こうだ」と言い切るのは。 定義がすごく難しいんじゃないかなと思うんだけど、やんわりと言うならそもそもこれはサウス、アメリカ南部の方から始まってきたビートで。 テンポ的にはBPMが70前後。 60ぐらいから80ぐらいまでなのかなって思っていますけども。 (宇多丸)基本、遅い。 (ZEEBRA)基本は遅いやつを倍で取る。 で、あと実際に「トラップ」って一言でいうけど、あんまりヒップホップと直接関係ないトラップもあって。 いわゆるEDMみたいな方でかかる、そういうトラップのアーティストっていうのもいるわけですね。 (宇多丸)俺、最初に「トラップ」っていうジャンル名を聞いたはヒップホップじゃなかったもん。 (ZEEBRA)ダブステップとかトラップとか。 それはそれであるんだけど、まあよく向こうで「トラップハウス」って言われているのが、それがドラッグをやるお家、パーティーをするお家みたいなもののことらしくて。 そういうところでかかる音楽みたいなことでもあるっていうことなんだけど。 それが、基本的には音的にはゆっくりなやつを倍で取る感じ。 それがトラップミュージックと考えていいんじゃないでしょうかね。 (宇多丸)はい。 (ZEEBRA)で、それこそT. がね、「俺がトラップを始めた」みたいなことをいろんなところで言っていたりとかして。 「そんなことはない!」とかいろいろやってますけども。 『Trap Muzik』っていうアルバムを作っていたんだよね。 結構早い段階(2003年)にね。 (宇多丸)そう。 結構早い段階で、T. (ZEEBRA)でもまあ、基本彼もサウスの出身なんで、サウスから生まれてきた音楽という。 (宇多丸)要はそれまでのニューヨーク発、ニューヨークが中心地だった。 LAも盛り上がり始めたけど、ある意味田舎というか、南部から盛り上がり始めて。 いまや南部の音楽像がある意味ヒップホップの主流になっているという。 (ZEEBRA)そう。 中心になっている。 (宇多丸)で、いつの間にかニューヨークの、僕らが最初に憧れたようなヒップホップは割と……さっき言っていたブーンバップですか。 それは昔のヒップホップのスタイルっていう感じになってきたという。 (ZEEBRA)そうですね。 「クラシック・ロック」みたいな感じでいくところの「クラシック・ヒップホップ」みたいな感じになってきている。 (宇多丸)という感じでございます。 (宇内梨沙)へー! (宇多丸)じゃあ、実際に音楽像を聞いてもらうのがいいと思うんで。 なにかご紹介ください。 (ZEEBRA)じゃあ、その元として90年代サウス系のビートということでノーリミットとかの話なんですけども。 (宇多丸)マスター・Pという人がいてね。 (ZEEBRA)じゃあ、一瞬だけちょっと聞いてみましょうか。 Juvenileの『Back That Ass Up』っていう曲を聞いてみましょう。 (宇多丸)はい。 Juvenileでございます。 こういうテンポで取っている。 だからクラブで踊る人もこうやって体を……。 (宇内梨沙)こうじゃないんですね。 (宇多丸)その宇内さんダンスも素敵ですけども(笑)。 (ZEEBRA)ちょっとね、ハワイアンみたいなね。 (宇多丸)ちょっと肘をキュッキュッとやる感じ。 (ZEEBRA)ということですね。 (宇内梨沙)これがいまの? (宇多丸)いまの感じのベースになっているっていう。 (ZEEBRA)そう。 これは90年代にあった曲で。 まあ、これが当時ノーリミットっていうレーベルから出ていたんですけど、この感じがまた最近流行っていて。 もう大流行中で。 それが流行った理由の曲があるので、行ってみましょう。 これはG-Eazyという白人ラッパーなんですけども。 なかなかイケてまして。 G-Eazy feat. (ZEEBRA)そうですね。 (宇多丸)ちゃんとキメがある。 (ZEEBRA)あと、ビートのライド感ね。 (宇多丸)遅いけど、間に乗りやすい刻みは入っているし。 (ZEEBRA)で、こんなのがありまして、こういうタイプのビートを使うのが世界中でいろいろ流行っていて、後を絶たないんですけども、日本でもさらに川崎のBAD HOPの連中が……T-Pablowとね、YZERRという高校生ラップ選手権から出てきて『フリースタイルダンジョン』もやっていた、そんな感じの若いニューヒーローたちが。 (宇多丸)川崎のね、『ルポ 川崎』という磯部涼の本があって。 とてもその本にその状況が書かれていて。 要は彼らがすごくいまの若い子の……まあ実際には日本もさ、格差社会は昔からちゃんとあったし。 そんな中で若い子の希望の星になっているというあたりがその本にも書かれていますので、ぜひそちらも読んでいただきたいんですが。 (ZEEBRA)はい、ということでお聞きいただきました。 (宇多丸)これ、この間『人間交差点』でも披露していただいて。 さっきのさ、(T-Pablowの)「川崎区で有名になりたきゃ人殺すかラッパーになるか」っていうラインが多くの人に衝撃を与えていまして。 (ZEEBRA)いや、あれはすごすぎですよね。 BAD? HOP? Kawasaki Drift BAD HOP『Kawasaki Drift』歌詞 — みやーんZZ miyearnzz (宇多丸)BAD HOPはね、やっぱりメンバーが華があるし。 いっぱいいてそれぞれにテクも違うし。 【人間交差点2018】BAD HOPのステージ写真が到着!? だから一時期で言ったらニトロ(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND)とかね、そういうのもいましたけども。 (宇多丸)要するに、いろんな個性がいる集団っていうのがたまにね、スターグループとしてあるんだけど。 まあ、現代のそういうグループというか。 (ZEEBRA)まさに。 で、8人8様ですごい違うし。 これからソロ売りがどんどん激しくなっていくらしくて楽しみだなと。 (宇多丸)なるほど。 あと、彼らのやっているインターネットラジオ(WREP『リバトーク』)がね、めちゃめちゃ面白いの(笑)。 (ZEEBRA)フフフ(笑)。 (宇多丸)こんなだけど、やっぱり若くてかわいいいんですよ。 お菓子の話とかしてるの。 (宇内梨沙)アハハハハハッ! (宇多丸)めちゃめちゃかわいいんですよ。 (ZEEBRA)そうそう。 なんて言うのかな? コンビニの前にたむろしているやつらがしゃべっているみたいな。 (宇内梨沙)「川崎区で有名になりたきゃ人殺すかラッパーになるか」って言っている人が?(笑)。 (宇多丸)好きなお菓子の話を(笑)。 (ZEEBRA)「お前、どうすんの? 人殺すの?」「いや、俺はラップやろうかな」みたいな。 そういうレベルの話だから。 本当に困っちゃいますけどね。 まあ、人は殺さないですけどね。 (宇多丸)な……(笑)。 当たり前のことを(笑)。 (ZEEBRA)フフフ(笑)。 そんなことでも言っておかないとね、最近はわからない子がいたりすると怖いんでね。 (宇多丸)はいはい。 そうかもしれませんね。 でもだいぶ宇内さんも並べて聞くと……。 (宇内梨沙)3曲立て続けに聞いたら、ビートというか。 わかりました。 (ZEEBRA)この感じのビートね。 <書き起こしおわり>.
次の8月28日のクレイジージャーニーにて「川崎が生んだヒップホップクルー」と題してBAD HOP(バッドホップ)が登場しました。 アーティストグループがクレイジージャーニー登場するのは今までにない異例のこと。 このBAD HOP(バッドホップ)はただのアーティストではなく、元ギャング集団という経歴を持ち育った経験を基にした衝撃的な歌詞が大人気の今注目のヒップホップクルーなんです。 昨年10月の武道館ライブのチケットはわずか3時間でSOILOUTしたHIPHOPのサラブレッド「BAD HOP(バッドホップ)」のメンバー8人とは?衝撃的な生い立ちや過去、そこからラッパーになったきっかけなどご紹介していきましょう! 2020年4月20日現在、 paraviでクレイジージャーニーの配信は停止しています。 しかし クレージージャーニーはツタヤディスカスなら無料でDVDを借りられます! TSUTAYAの運営していますが、ネットでDVDをレンタルできるサービスです。 自宅にいながらDVDレンタルが出来るんです! TSUTAYA DISCAS(ツタヤディスカス)は、 通常月額1,865円かかりますが、初めての方にも安心なのは、『 30日間の無料お試し期間』があることです。 この30日間無料お試し期間にDVDを無料レンタルすることができます! そして、期間内ならいつ解約してもお金は一切かかりません。 川崎の南部は 競馬場や競輪場、風俗街やギャンブル施設、工場地帯が立ち並んでいます。 彼らが育った街はまさに南部で、外国人労働者が不法占拠し違法に建てた家が多く残っている 「おおひん地区」と呼ばれる地域です。 夏には 「光化学スモッグ」が毎日頻繁に発生し窓が開けられないため、小学校にはエアコンが完備していたり、周辺に降る雨は 「肌がヒリヒリする」こともあったとか。 「T-Pablow」はグループの心臓と言われ、「YZERR」はグループの脳みそ的存在と言われています。 「T-Pablow」と「YZERR」とは同級生で幼馴染なのが、「Tijj Jojo」、「Bark」、「G-k. d」、「Yellow Pato」です。 この4人と双子の兄弟とは別の小学校だったが、どの小学校のボスが強いか決める喧嘩で、「T-Pablow」と「YZERR」に負けて友達になったとか。 一つ年上の「Benjazzy」、東京出身の「Vingo」の計8人の仲間で構成されています。 「ヒップホップに出会わなかったら刑務所にいたかもしれない」と語る彼らは、ラッパーになるまでは地元で評判の元ギャング集団でした。 双子の兄弟の「T-Pablow」と「YZERR」の壮絶な過去とは? クレイジージャーニー、bad hopはじまった! — kyoushukudes kyoushukudes 父親が仕事に失敗しかなりの借金を抱えていたため家にしょっちゅうヤクザが取り立てに来ていたりとかなり貧困な少年時代を送っていました。 食べるものがなかったため、盗んで空腹を満たしていたとか。 両親は借金のせいで離婚、母親はお金がなかったので精神的におかしくなり自傷行為を繰り返します。 ある日急に母親が泣き出して「一家心中しよう」と言い、包丁を持ってきて母親に刺されたこともあったとか。。 「異常なことに気づけない環境にいた」「悪を悪と知らない常識があった」と本人たちは語っていました。 複雑な家庭環境は私生活にも影響を与え、小学生時代から喧嘩をするのは日常茶飯事、中学校にはバイクで行って違う中学校に揉めに行くという地元でも評判のワルでした。 あまりに外で暴れるので中学校内に教室とは別のTVやソファが置かれた別室を用意されていたとか。 元ギャング集団からラッパーになったきっかけは? 超面白かった。 僕の生まれた町も、川崎サウスサイドほどじゃないけど、昔は「福岡市のスラム」「室見より先には住むな」と言われていてね。 筑前三兄弟が全員ぐれずに高校以上に進学した事が奇跡と言われるほど。 だから、全てじゃないが、彼らに共感できるんよね。 その時に主犯格とされた「YZERR」は少年院へ入りそこでも暴力沙汰を起こして「医療少年院」に連れて行かれました。 その時の先生に言われてやっと「自分たちの置かれた環境の異常さ」に気づいていったとか。 まずは気づくことが更生への近道ですね。 逮捕されてやることがなかった「YZERR」はその当時の心境をラップにして手紙に書いたりするようになりラップと徐々に触れ合って行きます。 そんな中でお兄ちゃん的存在の人にイベントに来いと誘われ、そのイベントでラップを披露する機会に恵まれ全て満たされる感覚に陥ったとか。 その時のイベント名が「BAD HOP」。 そのままチーム名として使い2014年に結成して精力的に楽曲をリリースしています。 「やんちゃをしていたパワーを全てラップに注ぐようになった」と「YZERR」は語っていました。 まとめ 才能とか、遺伝子とかではない 人は、環境なのでは — ミキマサト overcome2014 壮絶な生い立ちを語ってくれた「YZERR」が、「今があるから過去には特に不満もなく両親には感謝している」と言っていたのはとても印象深く過去を乗り越え自分の行ってきた罪にしっかり向き合っていると感じました。 今週9月4日に「川崎が生んだヒップホップクルーBAD HOP」の後編が放送します。 ライブの裏側に潜入するそうなのでとても楽しみですね! 2020年4月20日現在、 paraviでクレイジージャーニーの配信は停止しています。 しかし クレージージャーニーはツタヤディスカスなら無料でDVDを借りられます! TSUTAYAの運営していますが、ネットでDVDをレンタルできるサービスです。 自宅にいながらDVDレンタルが出来るんです! TSUTAYA DISCAS(ツタヤディスカス)は、 通常月額1,865円かかりますが、初めての方にも安心なのは、『 30日間の無料お試し期間』があることです。 この30日間無料お試し期間にDVDを無料レンタルすることができます! そして、期間内ならいつ解約してもお金は一切かかりません。
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